医療事故はこんなにも悲惨です

かつて、医療事故による裁判はほぼ100%、患者・家族側が負けていました。

それは医療で使った情報は、ほぼ100%医療側が握り、患者側は関連情報を一切入手できなかったからです。裁判では、証拠がないと勝つことはできません。

しかし最近の病院は、医療事故が起きるとすぐに過失を認め可及的速やかに謝罪するようになりました。賠償責任も積極的に果たしています。

それでもなお、医療事故は無くなりません。それどころか医療事故は増えているのです。その実態の、ほんの一部を紹介します。

経験がない医師が肝臓手術をして患者が死亡

その患者は、亡くなった後で、がんでないことが分かりました。ところがその患者は、肝臓がんであると誤診され、肝臓を切除する手術を受けることになりました。

誤診とは、医師によって誤った診断が下された、という意味です。
しかもその肝臓切除手術を行ったのは、それまで肝臓手術を一度も経験したことがない医師でした。

肝臓がんの肝臓切除手術は、消化器外科の手術の中でも難易度が高い手術です。肝臓は人の生命にとって、脳、心臓、腎臓と並んで重要な臓器だからです。

それを医師免許を持っているとはいえ、「肝臓手術の素人」が執刀し、その結果患者が死亡しました。

これは、1997年から2012年に奈良県のY病院で起きた数々の「医療事故」のほんの一例にすぎません。Y病院の元院長は、業務上過失致死罪で起訴され実刑判決を受け、医師免許を取り消されました。

それにしても15年も放置されていたのです。それくらい医療事故を発見することは、現代でも難しいのです。

あなたがあした見舞われるかもしれない危機

医療事故は珍しくありません。減ってもいません。
病院の「能力」を審査している日本医療機能評価機構は2017年3月、2016年の国内の医療事故件数を公表しました。

2016年の1年間に起きた医療事故は3,882件で、2015年より228件も増えました。
同機構が調査を始めた2005年以降の最多を更新してしまいました。

2015年12月現在、国内の病院と診療所は合計109,570あります。
年間3,882件の医療事故がすべて異なる医療機関で発生しているとしたら、実に28の医療機関のうち1件が医療事故を起こしていることになります。

整形外科、中絶、分娩でも

整形外科手術をするときに、放射線を扱ってはいけない臨床工学技士にX線装置を操作させたとして、千葉県警が病院の勤務医を書類送検。医師は容疑を認めている。

中絶手術を行う資格を持っていない医師が中絶手術を行い、当時23歳だった女性が死亡。
医師は容疑を認めている。

麻酔で陣痛をやわらげる無痛分娩で女性を死亡させたとして、医師を書類送検。
これらの事故は、2017年から2810年の間に起きたものです。

限界と事故の境は誰が判断するのか

薬には副作用が必ずあります。治療には合併症が必ずあります。
医療を受けることは、リスクを背負うことでもあります。

どこまでが医療の限界で、どこからが医療事故になるのかは、一般の人には判別できません。しかしもしかしたら、医療従事者である医師や看護師たちでも、判別できないのかもしれません。